2025-2026シーズンのSBに勝利したSEAのMike Macdonaldのスキームについての記事です。

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記事の流れは、次の通りです。
1. 彼のディフェンスが数字的にどれほど優れているのか
2. 実際にスキームの説明
3. 似たスキームのVic Fangioとは何が違うのか
歴代ディフェンス成績
彼がDC、HCを務めていた時の成績は次の通りです。

安定した成績を残しており、さらにBALでもSEAでも2年目にはリーグトップディフェンスを構築しているとんでもないコーチです。
特に、2025年のSEAは歴代でも屈指のDVOAを残し、Dark Side DefenseとしてLegion of Boom以来の素晴らしいディフェンスチームでした。
2025年のSEA (Mike Macdonald)が歴代のディフェンスDVOAでランクイン!
— まこともや(DBアイランド) (@FitzNFL) January 7, 2026
近年では、2018年のCHI (Vic Fangio)に次ぐ2位。あのLegion of Boomをも超えた。
※DVOAは対戦相手を考慮したスタッツなので、年代が異なっても比較することに多少意味がある。 https://t.co/QmOHIJ3fJd
スキームの特徴
彼のディフェンスの特徴は大きく次の5つです。
①ツーハイセットからのパスカバーのDisguise
②多種多様なパスカバーの使用
③BlitzとDropを組み合わせた複雑なラッシュ
④Nickelの多用
⑤Early downでのRun Blitz
それでは1つずつ見ていきます。
①ツーハイセットからのパスカバーのDisguise
彼は、2010年代後半から徐々に流行り始めたツーハイを最も上手く使うコーチの1人です。レギュラーシーズンのツーハイセット率は見つけることができませんでしたが、SBでは90%と高確率でした。
ツーハイセットを使うことにより、パスカバーに制限がなく様々なカバーを敷くことができます。この辺りは他記事でも詳しく書いているので割愛します。
②多種多様なパスカバーの使用
そのツーハイセットからZone Matchを中心とした多彩なパスカバーが採用されています。
今のNFLで主に使われているパスカバーはCover 1, 2, 3, 4, 6です。SEAはその中で最も使用してないパスカバーでも12%(Cover 1)も使用しています(GBは最少カバー使用率が14%でリーグ1位で、SEAはその次です)。このように全てのカバーを満遍なく使用するため、パスカバーの予測が非常に難しくなります。
また、ワンハイ系のカバー使用率が44%と、ワンハイとツーハイのカバーもバランス良く使います。
これは今のNFLのパスカバーのトレンドです。
③BlitzとDropを組み合わせた複雑なラッシュ
フロントに目を向けると、彼はプレッシャーをかけるのが上手いです(Pressure 26%でリーグ6位)。一般的に、Blitzを増やせばPressureも増えていきますが、彼はBlitzはほぼ使いません(Blitz 19%でリーグ26位)。このBlitz %の少なさでこのPressure %を記録しているのは驚きです。
また、なんといってもBlitz時のPressure%はダントツでリーグトップと、Blitzの入れ方が上手いです。
The Seahawks don’t blitz very often. But nobody gets more pressure when they do decide to blitz. pic.twitter.com/yoPt8aZfYO
— Ian Hartitz (@Ihartitz) January 21, 2026
CreepersとSim pressureを効率的に使用し、最低限のラッシュ人数で効果的にpressureをかけます。
さらに、SEAはDBのPressure数がリーグ最多です。
Nick Emmanwori & Devon Witherspoon combined for 28 pressures this season.
— Brian Nemhauser (@hawkblogger) February 14, 2026
That was more than all but 5 other team’s entire secondaries. pic.twitter.com/NR2Jt9aOyE
Creepersとして、 LBだけでなくDBも用います。その結果、誰がどこからラッシュしてくるのか、オフェンスがより予想しづらいラッシュとなっています。
④Nickelの多用
2024年までNFLではオフェンスのHeavy personnelの使用率は年々下がっていました(パストレンド)。しかし、2025年はそれが少しだけ増えました。これは、11 personnelの増加に伴い、Nickel defenseが増えた(3WRに対して、3CBで対応)ので、逆にHeavy personnelでのランが2025年流行りました(LARのSean McVayを筆頭に)。
一般的に従来主流だった21 personnelに対してはbase defenseで対応が普通です。しかし、MacdonaldはNickel defenseを多用する強気です。
今年は12 personnel等のWRを減らしたsub packagesが増加(17年以来の割合)。それに伴いbase defenseも増加(17年以来の割合)。
— まこともや(DBアイランド) (@FitzNFL) February 5, 2026
実際SEA,NEもsub packagesを多用(EPAも高い)。
一方Dでは、SEAはsub相手にbaseではなくnickelを使用する率がダントツtopなのに、EPAもtop(異常)。NEもnickel使用率が高い。 https://t.co/05mAQuoqtP pic.twitter.com/daFEGodV1M
これは、Nick Emmanworiという、もはやLBといってもいいSがいることも大きいです。BAL時代もKyle HamiltonというサイズのあるSをよくboxで使っていました。こういったhybridな選手を獲得しているのもNickelを多用したい思惑があるのだと思います。
そしてこれは、多くのコーチが理想とするディフェンス構造を体現しています。
今日のFangioのディフェンスはまさにこれ。
— まこともや(DBアイランド) (@FitzNFL) February 10, 2025
PHIは4人ラッシュ+ツーハイでランを止め、プレッシャーをかけることが出来た。理想型だけど出来ない。
Mike Macdonaldもツーハイベースだけど、blitzちょこちょこ入れるもんな。 https://t.co/hDGKArbdUs
今のパストレンドでは、NickelなどDBを増やした体型で、さらにツーハイ(Light Box)を多用したいとどのコーチも考えています。しかし、実際は、それではパスを止められてもランが止められなくなるので、成り立ちません。しかし、Macdonaldはそんなディフェンスを構築してしまっています。上グラフを見てもらうと、SEAはSub packagesに対してNickelを多用するに関わらず、EPA/Playでリーグトップを記録しています。
⑤Early downでのRun Blitz
前述した通りランを抑えにくい状態(Light Box、Nickel多用)になっているにも関わらず、ランを止めることができている(EPA/Runはリーグ1位)要因の1つは、Run Blitzです。
Macdonaldが使う、light boxでrunを止めるやり方の1つがrun blitz。
— まこともや(DBアイランド) (@FitzNFL) February 13, 2026
彼の場合、open sideのLBをB Gapにblitzさせて、4-3を5-2に変化させる。と同時に、ツーハイの片側のSもboxに上げて、瞬間的に5-3の8 men boxを作る。
プレスナップでは4-3のlight boxだが、スナップ直後に5-3にdisguiseしている。 https://t.co/kanj7Ifvdb pic.twitter.com/qnXWpghtU2
具体的な動きはツイートに書きましたが、スナップ直後にフロント体型の変化と、一時的に8 men boxにすることで、ランを止めにいっています。そのため、単純なLight boxではないことが分かります。
(SBではランプレーの46%でRun Blitzを入れている)
Mike MacdonaldとVic Fangioとの違い
ここまでMike Macdonaldのスキームについてまとめてきましたが、このツーハイ(Light box)、Zone Match、少ないBlitzを特徴とするスキームはPHIのVic Fangioとほぼ同じで、現代NFLのトレンドです。
似ている中で、Fangioとの違いを最後にまとめておきます。
Zone coverの多用
彼は84%のカバーがZone coverです(これはリーグ2位)。一方、Fangioは73%です。MacdonaldはCover 1はあまり使わず、逆にFangioがほとんど使用しないCover 2を使います。
Pressureのかけ方が上手い
これはBAL時代からですが、プレッシャーデザインが非常に優れています。
フロントのDisguiseも好む
今はDisguiseがトレンドの1つになっていて、2人ともパスカバーのDisguiseを多用します。さらに、Macdonaldの場合、後ろだけでなく、BlitzやDropを組み合わせてフロントもより動かします。
参考までに、Vic Fangioのディフェンスについての簡単な記事はこちらです。
PHIのDC Vic Fangioの戦術解析(2024年)