第60回スーパーボウル戦術分析|SEAはどうNEを封じたのか?4つの勝因

第60回スーパーボウル戦術分析|SEAはどうNEを封じたのか?4つの勝因

今回は、2025年シーズンを締めくくる第60回スーパーボウルのレビュー記事になります。

このSBはMike Macdonaldの戦術の凄さが存分に見られた試合でした。

結果は、SEA29 ー NE13とSEAのディフェンスがほとんど完璧に近い守備をして、SEAの勝利となりました。

ここでは、主に勝利したSEAディフェンスについて書いていきます。終始、NEのオフェンスは自分たちがしたいことをできていませんでしたが、その要因は大きく以下の4点です。

①ツーハイセットからのパスカバーのDisguise
②多種多様なパスカバーの使用
③BlitzとDropを組み合わせた複雑なラッシュ
④Run Blitzを使ったランストップ

 

①ツーハイセットからのパスカバーのDisguise

2020年頃からNFLはツーハイセットがトレンドになっています。SEAのMike Macdonaldももちろんツーハイを多用しています。

この試合でプレスナップの時点でツーハイセットだったスナップは89.8%にも上ります。そのため、プレスナップの時点ではほとんどパスカバーを読むことができません。
ただし、その場合でもmotionにディフェンスが付いていくかどうかManかZone coverかはわかることが多いですが、SEAはそれすらdisguiseします。

そのため、NEのQBのMayeはプレスナップの時点で、大まかにターゲットを決めることが出来ず苦戦していました。

 

②多種多様なパスカバーの使用

前述したように、プレスナップでツーハイを多用していましたが、そこから実際のパスカバーがCover 2中心などと偏っていればNEも戦略が立てやすいです。しかし、SEAは次のように本当に多彩なパスカバーを敷いていました。この試合を見れば、NFLで使われているパスカバーのほとんどは網羅できるのではないでしょうか。

下の動画はツーハイからのパスカバーの一例ですが、プレスナップの時点でパスカバーが読める人はいないと思います。

 

また、ツーハイからのdisguiseだけでなく、逆にワンハイからのdisguiseもあります。

このように、同じセットから多種多様なパスカバーに変化させることでNEオフェンスの的を絞らせませんでした。

 

③BlitzとDropを組み合わせた複雑なラッシュ

続いて、ラッシュの部分です。試合を通してSEAのPressure%は47%と、とんでもない数字を残しました。これは、レギュラーシーズンでPressure%がリーグトップのDALの31%を大幅に超えています。

Pressureをかけることが出来た要因の1つがBlitzです。SEAはレギュラーシーズンでBlitzは平均19%入れていましたが、SBでは次グラフのように序盤にBlitzをかなり入れました。

このグラフがDrive毎のBlitz%(黄色線)ですが、4ドライブまでかなりBlitzを増やしていることが分かります。序盤でMayeにBlitzを植え付け、5ドライブからは逆にBlitzをほとんど入れていません。

そのBlitzをする選手ですが、SBではDB Blitzを増やしました。Blitzをした選手のTop 2はDevon WitherspoonNick Emmanworiです。一般的にBlitzはLBがすることが多いですが、SBではこのDB Blitzがかなり効きました。
WitherspoonはレギュラーシーズンではほとんどBlitzしていませんでした(12 Blitz/12 Game)が、SBでは6回もBlitzして見事にPressureをかけていました(SB MVPは彼だと思うぐらいプレッシャーの掛け方が上手かったです)。同じく、Emmanworiもレギュラーシーズンでは34 Blitz/14 Gameの2.4 Blitz/Gameでしたが、SBでは5回もBlitzしています。このように、NB Blitzを増やしこれがかなり効果的でした。

また、Blitzを入れたサイドと逆サイドの選手はdropさせてパスカバーの人数を確保するcallを彼は多用します。

 

NB Blitzを多用するためかSBではDBの数を増やし、その結果としてdimeが36 snapsと今シーズン最多を記録しました。dimeにすれば、Riq WoolenとJosh Jobeが外CBに入るので、WitherspoonとEmmanworiはApexに入ることができます。その結果として、Blitz時のQBとの距離が近くなります。

 

④Run Blitz

前述したようにSEAはツーハイセットを多用するので、Light Boxになり一般的にはランを止めにくくなります。
そこでSEAが使うのが、LBをOpen sideのB GapにRun blitzさせるcallです(SBではランプレーの46%ものsnapsでRun blitzを入れた)。ツーハイながら瞬間的に8 men boxを作ることができています。

 

これらがSEAのNEオフェンスを封じたディフェンスになります。次回、Mike Macdonaldのディフェンス全体構造について詳しく書こうと思います。

 

NEのディフェンスの素晴らしいDisguise

最後に少しだけNEのディフェンスにも触れたいのですが、NEも戦力以上の素晴らしいディフェンスを敷いていました。正直、あのメンバーでここまでいい守備をするとは思っていませんでした。さすがMike Vrabelです。

長くなるのでここでは少しだけにしますが、こちらもBlitzが効果的で前半はなんとBlitz%が59%とBlitz狂のBrian Floresも驚くほどBlitzを多用していました(今シーズンBlitz%トップのMINで44%。NEは普段は26%とSB前半では倍以上のBlitzを入れました)。

また、面白いパスカバーも見られて、SEAのQBのDarnoldも普段のようなプレーができていませんでした。

 

 

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