今回は、2025年シーズンを締めくくる第60回スーパーボウルのレビュー記事になります。
このSBはMike Macdonaldの戦術の凄さが存分に見られた試合でした。

結果は、SEA29 ー NE13とSEAのディフェンスがほとんど完璧に近い守備をして、SEAの勝利となりました。
ここでは、主に勝利したSEAディフェンスについて書いていきます。終始、NEのオフェンスは自分たちがしたいことをできていませんでしたが、その要因は大きく以下の4点です。
①ツーハイセットからのパスカバーのDisguise
②多種多様なパスカバーの使用
③BlitzとDropを組み合わせた複雑なラッシュ
④Run Blitzを使ったランストップ
①ツーハイセットからのパスカバーのDisguise
2020年頃からNFLはツーハイセットがトレンドになっています。SEAのMike Macdonaldももちろんツーハイを多用しています。
この試合でプレスナップの時点でツーハイセットだったスナップは89.8%にも上ります。そのため、プレスナップの時点ではほとんどパスカバーを読むことができません。
ただし、その場合でもmotionにディフェンスが付いていくかどうかManかZone coverかはわかることが多いですが、SEAはそれすらdisguiseします。
Mike Macdonald。
— まこともや(DBアイランド) (@FitzNFL) February 14, 2026
一昔前は、motionに付いていけばMan coverで、付いていかなければZone coverだった。しかしそんな定石は過去のもの。
動画①:motionに付いていかないがCover 1。
動画②:motionに付いていくがCover 2。
ちなみに、motionに付いていくがZoneのパターンは、Brian Floresも好き。 pic.twitter.com/mVQfnyl4YY
そのため、NEのQBのMayeはプレスナップの時点で、大まかにターゲットを決めることが出来ず苦戦していました。
②多種多様なパスカバーの使用
前述したように、プレスナップでツーハイを多用していましたが、そこから実際のパスカバーがCover 2中心などと偏っていればNEも戦略が立てやすいです。しかし、SEAは次のように本当に多彩なパスカバーを敷いていました。この試合を見れば、NFLで使われているパスカバーのほとんどは網羅できるのではないでしょうか。

下の動画はツーハイからのパスカバーの一例ですが、プレスナップの時点でパスカバーが読める人はいないと思います。
Mike MacdonaldはSBで、ツーハイセットを採用したのが89.8%。その同じセットからこれだけ多彩なパスカバーを敷いた(動画は一例)。こんなんされたらQBも困るわ。
— まこともや(DBアイランド) (@FitzNFL) February 14, 2026
Mayeもハードカウントとかすれば、多少はrotationに気付けるだろうけどしなかった。 pic.twitter.com/4rw1FgGn78
また、ツーハイからのdisguiseだけでなく、逆にワンハイからのdisguiseもあります。
Mike Macdonaldの、ワンハイルックからApexがdeep 1/2にrotationするSand Deuce。ワンハイからツーハイへのdisguiseは難度が高いのであまりない。
— まこともや(DBアイランド) (@FitzNFL) February 15, 2026
ラッシュはoverload blitzで逆サイドはdrop。 https://t.co/FqRGtBePZC pic.twitter.com/wLJYxeDWpF
このように、同じセットから多種多様なパスカバーに変化させることでNEオフェンスの的を絞らせませんでした。
③BlitzとDropを組み合わせた複雑なラッシュ
続いて、ラッシュの部分です。試合を通してSEAのPressure%は47%と、とんでもない数字を残しました。これは、レギュラーシーズンでPressure%がリーグトップのDALの31%を大幅に超えています。
Pressureをかけることが出来た要因の1つがBlitzです。SEAはレギュラーシーズンでBlitzは平均19%入れていましたが、SBでは次グラフのように序盤にBlitzをかなり入れました。

このグラフがDrive毎のBlitz%(黄色線)ですが、4ドライブまでかなりBlitzを増やしていることが分かります。序盤でMayeにBlitzを植え付け、5ドライブからは逆にBlitzをほとんど入れていません。
そのBlitzをする選手ですが、SBではDB Blitzを増やしました。Blitzをした選手のTop 2はDevon Witherspoon、Nick Emmanworiです。一般的にBlitzはLBがすることが多いですが、SBではこのDB Blitzがかなり効きました。
WitherspoonはレギュラーシーズンではほとんどBlitzしていませんでした(12 Blitz/12 Game)が、SBでは6回もBlitzして見事にPressureをかけていました(SB MVPは彼だと思うぐらいプレッシャーの掛け方が上手かったです)。同じく、Emmanworiもレギュラーシーズンでは34 Blitz/14 Gameの2.4 Blitz/Gameでしたが、SBでは5回もBlitzしています。このように、NB Blitzを増やしこれがかなり効果的でした。
また、Blitzを入れたサイドと逆サイドの選手はdropさせてパスカバーの人数を確保するcallを彼は多用します。
Mike MacdonaldのCover 1 blitz。
— まこともや(DBアイランド) (@FitzNFL) February 15, 2026
overload blitzとdropの組み合わせがこの人は好きすぎる pic.twitter.com/W0gb49mf7r
NB Blitzを多用するためかSBではDBの数を増やし、その結果としてdimeが36 snapsと今シーズン最多を記録しました。dimeにすれば、Riq WoolenとJosh Jobeが外CBに入るので、WitherspoonとEmmanworiはApexに入ることができます。その結果として、Blitz時のQBとの距離が近くなります。
④Run Blitz
前述したようにSEAはツーハイセットを多用するので、Light Boxになり一般的にはランを止めにくくなります。
そこでSEAが使うのが、LBをOpen sideのB GapにRun blitzさせるcallです(SBではランプレーの46%ものsnapsでRun blitzを入れた)。ツーハイながら瞬間的に8 men boxを作ることができています。
Macdonaldが使う、light boxでrunを止めるやり方の1つがrun blitz。
— まこともや(DBアイランド) (@FitzNFL) February 13, 2026
彼の場合、open sideのLBをB Gapにblitzさせて、4-3を5-2に変化させる。と同時に、ツーハイの片側のSもboxに上げて、瞬間的に5-3の8 men boxを作る。
プレスナップでは4-3のlight boxだが、スナップ直後に5-3にdisguiseしている。 https://t.co/kanj7Ifvdb pic.twitter.com/qnXWpghtU2
これらがSEAのNEオフェンスを封じたディフェンスになります。次回、Mike Macdonaldのディフェンス全体構造について詳しく書こうと思います。
NEのディフェンスの素晴らしいDisguise
最後に少しだけNEのディフェンスにも触れたいのですが、NEも戦力以上の素晴らしいディフェンスを敷いていました。正直、あのメンバーでここまでいい守備をするとは思っていませんでした。さすがMike Vrabelです。
長くなるのでここでは少しだけにしますが、こちらもBlitzが効果的で前半はなんとBlitz%が59%とBlitz狂のBrian Floresも驚くほどBlitzを多用していました(今シーズンBlitz%トップのMINで44%。NEは普段は26%とSB前半では倍以上のBlitzを入れました)。
また、面白いパスカバーも見られて、SEAのQBのDarnoldも普段のようなプレーができていませんでした。
NEも面白いパスカバーが結構あった
— まこともや(DBアイランド) (@FitzNFL) February 16, 2026
1つ目の動画:Cover 0 lookからのCover 2へのdisguise。
2つ目の動画:逆にblitzは全く入りそうにないセットからCover 0。
2つともなかなか見ないdisguise pic.twitter.com/awEepz9zF6