フラッグフットボールのパスカバーについての記事になります。
フラッグのパスカバーは、一般的にアメフトより単純なものが多く使用されています。そのため、この記事ではアメフトで使用される複雑で効果的なパスカバーをフラッグにも導入できないか検討する記事になります。
フラッグのディフェンスの難しさ
フラッグは基本的にオフェンス有利と言われています。その理由として、接触禁止なことと、数的有利でない(数的同数)ことが挙げられます。
接触禁止のためキャッチ後の即タックルでボールをこぼさせることが出来なかったり、アメフトはレシーバー5人に対してカバーするディフェンスは7人のことが多いですが、フラッグではレシーバーとそれをカバーするディフェンスの人数は基本的に数的同数の4人対4人です。
このようにフラッグのディフェンスは苦しい状況です。今までアメフトのパスカバーについて勉強してきたこともありフラッグのカバーについて考えてみます。
アメフトの最近のトレンドのMatch Coverの考え方を取り入れたカバーを考えます。
フラッグでのMatch Cover
フラッグでは、前述したように接触禁止であるためマンカバーではカバーしづらいためゾーンカバーが主流となっています。
しかし、ゾーンカバーではカバー対象のレシーバーが曖昧になり、どのレシーバーもカバーしていないディフェンスの選手がいることもあります。アメフトの場合、そんなディフェンスがいたとしても、ディフェンスの方が数的有利なので全レシーバーをカバーできることもありますが、フラッグでは浮いているディフェンスがいれば、同様にフリーのレシーバーもいることになります。
これが、フラッグでゾーンカバーをする際に難しいポイントです。
そこで、アメフトのMatch Coverの考え方を取り入れます。Match Coverについての概要は下記記事をご覧下さい。
パスカバーの分類(マンカバー、ゾーンカバー、マッチカバー)
このカバーの利点は、ゾーンカバーと異なり最終的にレシーバーをM/Mすることです。それだけ聞くとマンカバーと同じですが、このカバーの利点はLeverage(位置関係)の有利を活かすことが出来る点です。
例えば、最も分かりやすいBanjo Coverageでは、下のようにレシーバーがクロスすればカバーを受け渡します(左下例)。このようにディフェンスはある程度カバーするサイドを絞ることが出来るM/M(マンツーマン)です。
Photo by: http://breakdownsports.blogspot.com/2018/10/inside-playbook-football-banjo-coverage-and-defeating-it-with-switch-release.html
この考え方をフラッグに取り入れます。
ただ、Match Coverは基本的にオフェンスに対してディフェンスの人数を+1,2人で考えるパスカバーですが、フラッグは数的有利作れないので4人対4人で考えます。
数的有利を作れないため、複雑なMatch Coverにおいて局面を簡易化してフラッグに導入します。具体的には片サイド(Weak side)のCB1人をレシーバーにM/Mさせ、逆サイド(Strong side)の3人対3人サイドをMatch Coverにします。
ポジション | セット位置 | カバー詳細 |
---|---|---|
Weak CB | LWRの内に セット | M/M |
LB | CのWeak sideに セット | 1st in Cがweak sideに流れた場合、M/M CがStrong sideに流れた場合、SWR、RWRでWeak sideに流れてきたレシーバーをM/M |
Strong CB | RWRの内に セット | 1st out Strong sideのflatに流れてきたレシーバーをM/M |
SF | CとRWRの間に セット | deep 1/2 deepのレシーバーをM/M(通常の3under 1deepカバーよりカバー範囲は狭い) |
LB、Strong CBはレシーバーに対してLeverageが有利なためカバーしやすいはずです。また、ゾーンカバーではないので、全ディフェンスが必ず1人のレシーバーをカバーする事(レシーバーではなくエリアをカバーしない事)が大事です。
メリット
- フラッグのマンカバー、ゾーンカバーの弱点を補うことが出来る(マンカバーよりLeverageの有利がある。ゾーンカバーよりカバーするオフェンスが明確で、よりタイトにカバー出来る)
デメリット
- 単純なM/Mと比較して複雑(複数レシーバーを見て、自分がM/Mするレシーバーをチョイスする必要がある)
- Weak CBのM/Mのところでミスマッチを作られる可能性がある
具体的なカバー例
このカバーの具体的な例を見ていきます。
まとめ
今後もアメフトのパスカバーを応用したカバーを追加していきたいと思います。また、実際に使われた場合は感想等共有して欲しいです。より良いものに仕上げて世界大会等で使えるものにしていきたいです。