BALのDC Mike Macdonaldのディフェンスについて

BALのDC Mike Macdonaldのディフェンスについて

2023年リーグ1位になったレイブンズのディフェンスについての記事です。

BALのDCはマイク・マクドナルドが務めており、そのディフェンスについて見ていきたいと思います。個人的な趣向で主にDBに関する項目について書いていきます。
(マイク・マクドナルドは2024年シーズンからSEAのHCに)

Photo by TODD OLSZEWSKI/GETTY IMAGES/GETTY IMAGES

 

成績

2023年シーズンのBALのディフェンスに関する成績は、下のようにリーグトップと呼べるものでした。

Points:リーグ1位
Points / Drive:リーグ1位

・Total Yds / Play:リーグ3位(1位はCLE。2位はNYJ)
Pass Yds / Att:リーグ1位
・Run Yds / Att:リーグ26位

Passer rating:リーグ1位
・Sacks %:リーグ4位
・Pressure %リーグ23位

DVOA:リーグ1位

EPA / Play:リーグ2位(1位はCLE)
Pass EPA / Play:リーグ2位(1位はCLE)
・Run EPA / Play:リーグ23位

 

ディフェンスの特徴

DC Mike Macdonaldは変幻自在なディフェンスを構築しました。BALのディフェンスには次のような特徴があります。

 

①プレスナップのツーハイ多用
②Cover3、4、6を満遍なく活用
③ディスガイズ多用
④複雑なブリッツスキーム

 

①プレスナップのツーハイ多用

プレスナップのベースはツーハイで、73%の使用率でリーグ3位です(1位はLAR。2位はMIA)。
そこから様々なパスカバーに派生します。これは別記事でも書いていますが、ディスガイズをしたりパスカバーを悟られないようにするためには、プレスナップでツーハイを敷くのがセオリーです。

(参考記事↓)

NFLの次のディフェンスのトレンドは?

 

②Cover3、4、6を満遍なく活用

BALはある特定のゾーンカバーだけでなく、Cover3、4、6を折り混ぜています
これらのカバーはQBからするとリードに時間がかかります。例えばCover2、3をメインとするディフェンスであれば、その2つはディフェンスの配置が大きく異なるのでQBからするとカバーを判断し易いです。

さらに、これらのゾーンカバーを前述した同じツーハイルックから展開するため、さらにQBのリードが難しくなります。

ちなみに、BALは、今のNFLで主要なパスカバーのCover0、1、2、3、4、6を満遍なく使用しています。リーグ2位です(これらのパスカバーの中で最も使用率が低いカバーの使用率順)(1位はARI)。ほとんどのチームははどれか1つのパスカバーを全く使わないことが多いです。(例えば、MIAのVic Fangioは、最も使用していないCover2の使用率はわずか1.3%)

 

③ディスガイズ多用④複雑なブリッツスキーム

ディスガイズは前述したように、ツーハイルックから様々なパスカバーに展開する特徴のほかに、ブリッツを絡めたディスガイズを使用します。下の動画を確認して欲しいですが、単純なLB、DBのブリッツだけではないパスカバーを採用します。

また、LBやDBをブリッツさせて、代わりにDLをパスカバーに下げるパターンも使用しています。

 

 

豊富なS陣

ツーハイルックからの様々なパスカバーへの展開と、ディスガイズについては、当然メリットだけでなくデメリットもあります。それは選手に負担がかかることです。ただ、BALにはそれを可能にするS陣がいますKyle HamiltonMarcus WilliamsGeno Stoneの3人です。もちろん、フロント7やCBも良い選手がそろっています。

ベース隊形では、Hamilton、Williamsが出場(ワンハイならWilliamsが後ろに位置することが多い)し、ニッケルではWilliamsやStoneが後ろに位置してHamiltonが前目にセットすることが多いです。

 

Kyle Hamilton(カイル・ハミルトン)

Photo by: https://www.baltimorebeatdown.com/2023/7/12/23792389/open-thread-how-do-you-see-the-ravens-using-kyle-hamilton-in-2023

4 INT 13 PD

何でも出来るタイプの選手です。ニッケルでは大型TEをカバーできるサイズがありますし、underゾーンのゾーンカバーも上手いです。また、めちゃくちゃ守備範囲が広いわけではないですが、後ろも十二分に任すことが出来ます。

意外とそこまでタックル数が多くないのは少し気になります。(0.09 Tackles / Snap)

 

Marcus Williams(マーカス・ウィリアムス)

Photo by: https://www.espn.com/nfl/story/_/id/38433237/ravens-marcus-williams-decides-surgery-return-season

1 INT 8 PD

後ろで活きるタイプの選手です。ワンハイもこなせる守備範囲とボールスキルが魅力です。

ボールキャリアーに対して、目線を切り背中からタックルを狙いに行きミスタックルすることがあるので、そこは直したいです。

 

Geno Stone(ジーノ・ストーン)

Photo by Ryan Kang/Getty Images

7 INT 9 PD

今年7INTし大ブレイクのFSです。ドラフト時から評価の高かったdeepのゾーンカバー能力が活きたシーズンでした。懸念されていた身体能力ではなく長所が目立ったシーズンでした。また、ここまでのボールスキルがあるとは思っていませんでした。

パスプレー以外では、ランに対してdeepからの上りが速いのは驚きでした。ただ、0.07 Tackles / Snapとタックル数はそこまで伸びてはいませんでした。

 

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