なぜアメリカは世界一?ロングパス成功率から読み解く戦術

なぜアメリカは世界一?ロングパス成功率から読み解く戦術

フラッグフットボールのアメリカオフェンスについての記事です。

前回2024年8月の国際大会で女子日本代表は見事3位でした。そんな代表の次なる国際大会が決まったようなので、参加国の前回大会のプレー振り返りをやりたいと思います。
(前回大会のプレーを次の大会でどこまで使うか分かりませんが…)

今回は、前回大会で優勝のアメリカ(世界ランク現在1位)についてです(日本は世界ランク3位)。
※今回の分析では、準決勝(vsオーストリア)、決勝(vsメキシコ)の2試合分のデータを基にしています。

 

世界ランク2位のメキシコオフェンス分析についてはこちら↓

メキシコオフェンス分析(フラッグフットボール)

 

世界ランク5位のオーストリアオフェンス分析についてはこちら↓

フラッグフットボール|オーストリア代表のパスコンセプトをデータで分析

 

アメリカオフェンスの特徴

大きく2つの特徴があります。

①ロングパス
②Vertical StretchとHorizontal Stretchのバランスの良いパスコンセプト

それでは1つずつ見ていきます。

①ロングパス

アメリカは女子チームには珍しくロングパス成功率が高く、かつターゲット率も高いです。一般的に女子QBはそこまで肩が強くないことから、あまりロングパスを投げるチームは少なかったり、成功率が低かったりします。

これまで記事にしてきたメキシコ、オーストリアと比較すると次表の通りです。

ロングパスのターゲット率、成功率が高いことからパス50回あたりのロングパス成功数で見ると、メキシコ、オーストリアの約2倍です(1試合のパス数は平均約50回)。これがアメリカの得点力の高さの要因の1つです。アメリカQBは肩が強いので、このロングパスは要警戒です。
ちなみに、ロングパス以外のパス成功率は他チームと比べても特別高いわけではありません。

また、ロングパスの主なターゲットは右WR(ヘッドギアを着用している選手)であり、ロングパスの中で彼女へのターゲット率は53%(8/15回)です。彼女は球際も強くスピードもあるので要注意です。ちなみに、そのターゲットになった8回のロングパスの内、6回成功と、とんでもない高確率でロングパスをキャッチしています。

 

②Vertical StretchとHorizontal Stretchのバランスの良いパスコンセプト

次表がアメリカの各パスコンセプトの使用率をまとめたものです。

この表から分かるように、Vertical StretchとHorizontal Stretchのパスコンセプトをバランスよく使います。メキシコはHorizontal Stretchが多く、オーストリアはVertical Stretchが多かったのに比べるとバランスがいいです。

また、Hawk等のディフェンスを奥に引っ張ってその後ろへのパスを狙うプレーを多用するのはオーストリアと同じですが、オーストリアは縦のルートを囮にすることが多いことに対して、アメリカはその縦のルートを狙うことも多いです。

 

その他

アメリカは基本的にはショットガンですが、稀にアンダーセンターも使います。ただし、このときは必ず(5/5回)スロットに一度ハンドオフします。そこからそのスロットがそのままランしたり、パスするパターンもあります。

 

まとめ

この大会で優勝したアメリカは全体としてパス成功率が特段高いわけではありませんが、ロングパスを高確率で通すことで、この高い得点力につなげています
また、パスコンセプトもバランスが良いです。

 

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