Jonathan Gannon(ジョナサン・ギャノン)ARI HC就任

Jonathan Gannon(ジョナサン・ギャノン)ARI HC就任

ARIの新しいHC Jonathan Gannonについての記事です。

カーディナルスの前HC Kliff Kingsbury(クリフ・キングスベリー)の後任が決まったので、新HCの紹介をします。

記事の流れは、まずGannonが2022年DCを務めていたPHIの成績について、そして彼のディフェンスのPhilosophy・Schemeについて、最後に彼のスキームをARIに当てはめたときの展望、といった流れで書いていきます。

 

Photo by: https://clutchpoints.com/cardinals-news-arizona-finalizing-deal-jonathan-gannon-as-head-coach

 

2022年PHIディフェンスの成績

Photo by: https://theeagleswire.usatoday.com/2022/10/05/philadelphia-eagles-haason-reddick-nfc-defensive-player-of-the-week-darius-slay-brandon-graham/

まず、何といってもSBに進出しました。

項目別成績は下の通りです。

失点:リーグ8位
被ヤード:リーグ2位
ターンオーバー:5位
INT数:5位
被パスヤード:1位
被ランヤード:16位
QBプレッシャー率:2位
QBサック数:1位

何といっても、サック数ダントツ1位を記録した強力DL陣がPHIの中心でした。10サック以上を記録したラッシャーががなんと4人います。そのDL陣のおかげもあって、CJGJ、Slay、BradberryらDB陣がINTを量産しました。

 

Gannonのスキーム

一言でいうと、VIc Fangioの影響を強く受けたディフェンスを構築しています。

Photo by: https://dolphinswire.usatoday.com/2023/02/17/vic-fangio-why-he-joined-dolphins/

Fangioのスキームはざっくりと下になります。

Split safety Zone Match Cover
Blitzは少ない
1.5 Gap

この辺りの解説は長くなるのでこの記事では割愛しますが、Gannonもほとんどこれに倣っており、さらに下の特徴があります。

Zone Match Coverを多用(中でもCover 4の多用

 

Cover 4 (Quads)の多用

2022年PHIが使用したパスカバーを数えると下のようになります。

前述したように、Quadsの使用割合が非常に高いです。(Quadsについての解説はまた別記事で行います。)ちなみに、最も多いのはCover 1ですが、これはほとんどのDCもこのぐらいは使用するので普通です。逆に、(Pure) Zone Coverの使用割合は低いです。

RS中、PHIのパスディフェンスが良かった理由は強力DL陣のプレッシャーによるものが圧倒的に大きいですが、INT数がリーグ5位になった理由はZone Match Coverを多用したことが影響しています。Match CoverはQBからすると、一見してパスカバーが分かりにくく、空いてそうなエリアが実は空いていないという状況が発生します。それに加えて、PHIの場合プレッシャーがすぐかかるのでQBの判断時間が短くなります。

この恩恵を受けたのがCJGJ、Slay、BradberryらDB陣です。元々、SlayやBradberryはゾーンカバーが上手いタイプだったので、得意なスキームでプレーできました。また、CJGJはWeak Safety(Free Safety)として、Quadsでは、後ろでdeep 1/4を担当したり、Trixで#3をケアしたりと、QBからすると判断しにくい役割を担当していたので、それによるINTもありました。

 

ちなみに、Quadsの1つの欠点ですが、どうしてもLBのカバー範囲・負担が広くなります。シンプルにカバー範囲も広いですし、#2や#3に入るWRとMatchすることがあるのでミスマッチが多くなります。そのため、そのエリアは狙われやすく、SBでもMahomesに狙われていました。

Photo by: https://nextgenstats.nfl.com/charts/single/pass/team/2022/week/patrick-mahomes/MAH401939

 

GannonとARIの相性

GannonはHCなので彼の色がどこまでディフェンスに反映されるか分かりませんが、彼好みのDCがきたとして、ARIに当てはめてみるとどうなるか考えてみます。

まず、前述したパスカバーの負担が大きいLBについては、パスカバーに秀でるLB Isaiah Simmonsがいる(パスカバーで活躍するところをあまり見れてないですが…)ので、彼のところは楽しみですね。

ただ、肝心なCBが全く戦力が整っていないので、複雑なZone Match Coverをこなせるとは思えないのが心配です…。

 

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