POに進出しているラムズのディフェンス解説記事になります。
2020年今シーズンLARがPOに進むことができた理由はリーグNo.1ディフェンスがあったからだと思っています。そこで、そのディフェンスについて解説していきます。
Photo by Keith Birmingham, Pasadena Star-News/SCNG
数字で見るLARディフェンスの良さ
下のように2020年のリーグNo.1ディフェンスでした。
Points:1位
Points / Drive:1位
Total yards:1位
Total yards / Play:1位
Pass yards:1位
Pass TD:1位
QB rate:2位
Run yards:3位
Run TD:6位
Run yards / Run play:3位
特にパスDが素晴らしいです。
パスDが良い最大の理由は、①パスカバーがディスガイズされていてQBがパスカバーを読みにくいことです。もう1つの理由は、②能力が高いCBにはカバーの負荷を高めていることです。
それでは1つずつ見ていきます。
①ディスガイズされたパスカバー
LARのディフェンスはスナップ前の時点でパスカバーが非常に読みにくいです(ほとんどのチームはスナップ前の時点である程度パスカバーが絞り込める)。
LARディフェンスのディスガイズの一例が下の動画になります。
まず、スナップ前の時点でパスカバーが読めません。
スナップ後は一見するとゾーンカバーに見えますが、右NBだけマンカバーのような動きをしています。また、Cover3のようですがNBがDeep 1/3を担当するのはほとんど見たことがありません。
続いてこちらのディスガイズの動画。
1-Highからスナップ直後にCover2に移行してさらにゾーンブリッツも入っています。
このように、LARディフェンスの特徴はディスガイズを多用することです。特にスナップ前は主に2-Highで、CBのクッションの取り方も左右で異なるのでパスカバーが読めません。
LARはスナップ前に2-Highを多用しますが、これは2-Highにしておくとディスガイズしやすいからです。
なぜなら、スナップ後に片方のSが前に出る2-High → 1-HighではSの負担が小さいですが、スナップ後に片方のSが後ろに下がる1-High → 2-HighではSに高い能力が求められます。(下がりながらのパスカバーやそこから前に出るランディフェンスは難しいため。)
しかし、2-Highにもデメリットがあります。それはランへの対応が遅くなることです。単純に2人のSがスクリメージより遠く、ランプレイに参加するのが遅れます。あるNFLのDCは次のように言っています。ほとんどのチームは人数でランを止めると。そのため、ランを止めるならBoxの人数を増やす1-Highにするのが定石です。
しかし、LARはパスディフェンスだけでなくランディフェンスにも優れています。
なぜLARは2-Highをメインとしながらもランディフェンスにも優れているのか
それは単純な理由で、ランをスクリメージで止めれる優れたDTがいるからです。Aaron Donaldドナルドは説明するまでもないですが、他にもMichael Brockersブロッカーズ、Sebastian Joseph-Dayらがいます。
Photo by Kevork Djansezian/Getty Images
ブロッカーズはある程度有名ですが、ジョセフは恥ずかしながら今シーズン初めて名前を聞いた選手でした。ですが、ゲームを見ているとかなり効いており、数字でもドナルドを超えるソロタックル数を記録しています。
LARはそこまで優れたLBはいないのですが、DTが優れているためLBの負担も小さいです。
これが2-HighをメインとしながらもランDにも優れている理由です。それではパスDが良い理由に戻りましょう。最大の理由はディスガイズのパスカバーでしたが、2つ目の理由は次の通りです。
②能力が高いCBにはカバーの負荷を高める
LARの中で能力の高いCBといえば言うまでもなくJalen Ramseyラムジーのことです。
Photo by Harry How / Getty Images
LARはゾーンカバーをメインとしていますが、ゾーンカバーではエースWRに大活躍されることがあります。そこで、ラムジーにはゾーンカバーではない異なる役割を与えることがあります。
それはゾーンカバーの中で彼だけマンカバーでエースWRシャットダウンさせることです。そして、残りの選手は分担してゾーンカバーをさせるパスカバーを使用しています。具体的には次の動画です。
FSはラムジーのサイドの右サイドは捨てて、左Deepをカバーしています。
ラムジーはゾーンカバーも上手いですが、エースWRをシャットダウンするねちっこいカバーもできるのでこういった役割も与えられています。
今シーズン2020年1 INTのみに終わりましたがAll-Proにも選ばれています(PFFが選ぶAll-Proでは2nd teamに選ばれています)。さらに、シーズンを通してわずか354 yard(23.6 yard / game)しか許していません。
まとめ
LARディフェンスが今シーズン2020年リーグNo.1 D#を構築できた最大の要因は次の通りです。
・スナップ前の2-Highから展開されるディスガイズされたパスカバー
・Sの助けを借りる必要がないランDに優れたDT(特に、ドナルド、ジョセフ)
・ラムジーのパスカバー能力を活かしたパスカバー